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波乗亭
2024.06.28

【ミュージカル「福来たる」】関連コラム 1.芝居小屋

◎芝居小屋の歴史

「福来たる」の舞台になる戦後淡路島の芝居小屋。

淡路島はかつて芝居が盛んだったことはあまり知られていません。芝居小屋といっても内容はまちまち。寄席に演劇に浄瑠璃に、あちこちで芝居がかかりどこも人の熱気で町は大賑わい!想像するだけで楽しい気持ちになります。

演目は朝から日没まで一日かけて演じるものも多く、昔の観劇スタイルは今のように黙って座っていたわけではなかったようで、食べたり、酒を飲んだり、昼寝したり、喋ったり…とにかく自由だったようです。

参考:明治期から残る芝居小屋 永楽館

 

●淡路島の芝居小屋

数ある劇場の中で淡路島で最も古い劇場は、洲本にあった玉尾座でした。江戸時代末期にはすでにあったとされ、規模はずば抜けて大きかったようです。明治時代になると漁師町や市街地などに劇場が次々建てられるようになり、大きい劇場はなんと1,500人を超えるキャパだったとか!波乗亭が約200席と考えるとその大きさがよく分かります。「一銭で飴玉が4、5個買えた時代に木戸銭が2銭」という安さから庶民になじみの娯楽でした。

やがて農村地帯でも田舎回りの劇団が来て数日間小屋掛けするようになり訪れた人の熱気で身動きできなくなるほどでした。芝居が行われる場所は神社の境内が多く、昔は稲刈り後の田園で行ったこともあったそうです。

参考:現在の洲本市街地

●400年続く芝居小屋の歴史

1603年、出雲阿国による「かぶきおどり」に始まった芝居小屋。1624年には十八代中村勘三郎の初代猿若(中村)勘三郎が江戸の芝居小屋「猿若座」を興しました。一日がかりの芝居では、幕間が長かった中で生まれた名物の「幕ノ内」弁当、そして歌舞伎十八番の演目である「助六」にちなんでつけられた「助六寿司」等があります。

また、「火事と喧嘩は江戸の華」という言葉がありますが木造の芝居小屋が火災に見舞われることはよくあり、歌舞伎でも火事を題材にした演目が上演されていました。

江戸時代から遊興娯楽は好ましくないものとして、芝居を観に行くときは隣近所に「仏参」など言って気兼ねしながら出掛けていたそうです。悪事を働いたわけではないのに後ろめたさを感じますね。明治に入ると芝居は国の何の役にも立たないと、興行場や役者が課税対象となりました。地方のほうが高い税額が設定されていたのには理由があり、本業ともいえる農業に従事するよう促し、遊芸従事者を「漸次廃絶」させるためでした。

しかし、庶民の間では芸能の需要が多くなります。興行場の数は年次を経るごとに増加し、明治1874年に全国で40~50ヵ所でしたが1884年には391ヵ所にまで増えていました。

参考:歌舞伎座

●芸能の地位向上に貢献したアメリカ大統領

度重なる芝居小屋の火事や風俗壊乱の元凶として芸能に関わりをもつ者は社会から大きく疎外され低い立場に置かれていましたが、1879年の第18代合衆国大統領を勤めたグラントの来日が大きな転換期に繋がります。グラントは岩倉使節団の米欧回覧時のアメリカ大統領であり、その際岩倉から能楽について聞いたグラントは能を観たいと申し出ます。

観劇後、グラントは欧州各国において帝王貴族が「オペラ」を保護するように能楽を保護して永久に伝えるよう言いました。その結果が能楽堂建設、能楽会設立に繋がり、芸能の価値観は一変することになります。

●明治時代の改良運動のひとつ演劇改良運動

1885年は日本の社会の各方面に改良の声が上がり、その一つとして演劇改良運動もありました。上流階級の人々の鑑賞に堪える高尚なものにしなくてはならないという考えから脚本の内容や演出など様々な改革が試みられ、戦前にはチャーリー・チャップリンや作家ジャン・コクトーらが歌舞伎観劇に訪れました。演劇改良運動の流れで演劇改良会発足直後に東京音楽学校が設立され、寄席演芸では渋沢栄一や三遊亭円朝らの発起で改良演芸会社が設立されました。

その頃、庶民に最も人気があったのは今勢いが高まっている講談です。当時講談の主たる客層は昼は年配の男性、夜は座席の半分近くを子どもが占めており、芝居はというと主に女性と子どもが見るものでした。

しかし、演劇改良には反発も強くありました。当時、西南戦争後の日本社会は貨幣価値が下落、物価高騰に増税と大不況に見舞われ、さらに天候不順や風水害によって農村は崩壊寸前の状況。同時にコレラの流行により興行物の禁止が起こり、不況とコレラでほとんどの俳優は借金生活を余儀なくされ、芝居小屋も大きな苦境に立たされました。

■ミュージカル「福来たる~淡路ゑびす座狂詩曲(らぷそでぃ)~」

公演詳細は<こちら

敗戦から数年後の淡路島。経営難で存続に苦しむ芝居小屋「ゑびす座」に商売繁盛の神様・えびす様がやって来る⁉ 劇団四季出身俳優陣を迎えておくる、笑いあり、涙ありの情熱ミュージカル!

[時  間]
各回 14:00 開演(13:30開場)約90分予定

[出  演]
坂元健児/近藤真行/柳瀬亮輔
山根千緒里/石坂光/五十嵐広大/堂元晴近/横田爽磨/源六朋樹
金森なつみ/木村くるみ/原萌々花/長岡美地留/荒木心/田野清香/中川ひかる

[会  場]
「青海波 ‐SEIKAIHA‐」内 劇場 波乗亭

[問い合わせ]
劇場 波乗亭 TEL 0799-70-9020

ご予約・アクセス

一般      5,500円
学生(小中高)2,000円

<ご購入・ご予約>
teket(テケト)<https://teket.jp/6095/32682
イープラスhttps://eplus.jp/sf/detail/4059900001

icanca会員の方、各種クーポンをお持ちの方は以下よりご予約ください。
◎RESERVAhttps://reserva.be/awajiartandculture/
TEL[劇場波乗亭]0799‐70‐9020(10:00~18:00 ※木曜定休)

[アクセス]
青海波-SEIKAIHA-

〒656-1723 兵庫県淡路市野島大川70
TEL:0799-70-9020

 


[お車]神戸淡路鳴門自動車道 淡路ICより約10分、北淡ICより約15分
[高速バス]神姫バス・北淡路西海岸ライン「野島大川(青海波前)」にて下車、徒歩3分
      (各線三ノ宮駅より約55分、JR舞子駅より約25分)
[高速船]各線明石駅から淡路ジェノバライン乗船、岩屋港のりばよりシャトルバスで約20分

別ページ<公共交通機関で劇場波乗亭に行こう!

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