1月28・29日の2日間に渡りトランペットコンサートを開催いたしました。播磨灘の景色と共にトランペットの様々な音色をお楽しみいただきました。
■波乗亭クラシックシリーズLes Vagues ≪波≫Vol.1 「アンドレ・アンリトランペットコンサート」
日 程:2023年1月28日(土)、29日(日)
時 間:14時00分開演(約90分)
■出演
アンドレ・アンリ(トランペット)
玉城勇一(トランペット)
肥後徹士*(トランペット)
岸田武士*(ピアノ)
小牧美琴/角松歩実*/山﨑和也*(トランペットアンサンブル)
*音楽島-Music Island-所属
■プログラム
PART I
1. ヨハン・ヴァレンティン・ラートゲーバー/協奏曲 変ホ長調 作品6・15番
2. トマゾ・ジョヴァンニ・アルビノーニ/トランペット協奏曲 変ロ長調
3. ヨハン・セバスティアン・バッハ/協奏曲・ニ長調・BWV 972
4. アレクサンドル・シルヴァン・プティ/美しい山々
5. ジョセフ・レイノー/ツグミとアトリ
PART II
1. アストル・ピアソラ/オブリビオン:忘却
2. カール・ヘーネ/スラヴ幻想曲
3. エドゥアルド・アブラミャン/コンサート・スケルツォ
4. アンドレ・テレマン/心地よさと身震いのはざまで
5. リチャード・バード/鳥の歌
アンコール
ユーディ・L・ボウマン/12番街のラグ
リハーサルでは、トランペット、コルネット、ピッコロと、それぞれの響きを確認しながら丁寧に進行しました。吹く方向によって響きが変わるそうで、トランペットは斜めに向かって、コルネットとピッコロは正面に向かって吹いています。アンドレ・アンリ氏は東京を中心に活動していますが、地方公演の際には地元の演奏家との共演を大切にしているとのこと。今回はフランスで学んだ大阪府出身の玉城勇一さんもいらっしゃいました。伴奏は淡路島で活動する音楽島―Music Island―所属の岸田武士が務め、また、同所属のトランペット奏者肥後徹士からも1曲お届けいたしました。
プログラムのコンセプトは「旅」。時と場所を巡って、様々な音色をお届けいたしました。現存する最古のトランペットはツタンカーメンの棺から発見されたそうで、真っ直ぐな「らっぱ」でした。Part1はトランペットがまだ複雑な構造をしていなかったバロック時代の音楽から始まり、19世紀へと時代が進んで参ります。Part 2はアルゼンチン、東欧、南仏、アメリカと異国の風をお楽しみいただきました。
お客様からは「こんなに優しい音色のトランペットを聞くのは初めて」とお声をいただきました。クラシックならでは、アンドレ・アンリ氏ならではのコンサートをお楽しみいただけた様子で何よりです。また、波乗亭からの景色についてもたくさんのお声をいただきました。素晴らしい播磨灘についてコメントをお寄せいただいた一方で、特に2日目にお越しの方々からは、雲一つない晴天で眩しすぎたとのこと。今後、改善に努めて参ります。
たくさんのお客様にお集まりいただき、誠にありがとうございました。さらにバージョンアップして、来年も開催する予定です。皆さまどうぞお越しくださいませ。
また、公演後に公開レッスンを開催いたしました。高校生から演奏家活動を始めたばかりの若手までご参加いただきました。音楽島の所属者も参加いたしましたので、レッスンの内容と感想をご紹介いたします。
公開レッスン会に参加して 角松歩実(音楽島所属トランペッター)
今回、アンドレ・アンリ氏のコンサート2日目の公開レッスンを受講しました。
レッスンの曲目はFrancis Thomeの「Fantasy」を選びました。Francis Thomeはフランス人で、フランス音楽をフランスの奏者から直接教えていただきたいという思いから選曲しました。
まず、アンリ氏も客席に座り、一曲丸々聴いていただきました。アンリ氏やトランペットを日頃勉強している方に見られている場は独特な緊張感がありました。
演奏後、何点か改善点を言っていただきました。まず指摘されたのがチューニングの仕方でした。チューニングは曲を演奏する前にピアノと音程を合わせるもので、アンリ氏から「客席にいる人が初めて自分の音を聴くのはチューニングの音だ」ということを言われました。チューニングの時、私は客席に背中を向けてピアノに向かって音を合わせていました。チューニングから聴かれているという意識が少なかったのです。「舞台上に立っている時は常に見られているという意識を持つことが大切だ」と教えていただきました。コンクールやコンサートではステージに一歩でも踏み出したところからスタートだということを改めて意識することができました。
その後、マウスピースのみでの奏法、チューニング管を抜いての奏法をおこないました。これによって楽器への息の入れ方が変わりました。自分でも気付かなかったのですが、緊張や不安などによって縮こまった演奏をしていたようで、その奏法で練習した後、楽器で演奏すると音が変わったことが自分でも分かりました。その変化は客席にいらっしゃった方も感じたそうです。
ソロ曲を演奏するとなると、どうしても難しいパッセージや自分のスタミナなどにばかり気を取られてしまいます。立ち方、構え方、楽譜の見方、目線の置き方など、些細だけれど基本的な事が頭の隅に追いやられてしまっていました。アンリ氏から大切なことをたくさん思い出させてもらえたことで、良い音での演奏に繋げられるようになったと思います。
アンリ氏はとても生き生きしていて、温かい人柄が音にも現れていていると思います。心から尊敬できました。楽器を続けるなかで、悩むことも辛いこともたくさんありますが、レッスンを受けてから更にトランペットという楽器を好きになることができました。アンリ氏のように、人の心を揺さぶることのできる様々なトランペットの音色を、もっともっと出せるようになりたいです。