目次
絶賛公演中のドラマティックショー「舞い踊る郷の響き~ふるさとNeo Japonism~」。伝統と革新が入り混じる本作品ですが、今回は太鼓奏者の上田秀一郎さんにインタビューしました。世界各地で活躍する一方で、歌舞伎など日本の伝統文化にも出演する太鼓奏者としての目線から、今回の作品について語って頂きました。
- 脚本や音楽を最初に読んだ・聴いたときの印象を教えてください
まず最初に曲の音源を聞いた時に、この曲たちがどうつながっていくのか、また繋がって一つの作品になったときどのようになるか、とてもワクワクしていました。日本各地の民謡がラテンにジャズにブルースに。一曲一曲のアレンジがとても個性に溢れていて、全体像が想像つかなかったです。謝珠栄先生がこれらの素材をどのように調理されるか、とても楽しみでした。

- 今まで指導で関わることが多かったと思うのですが、今回はプレイヤーとしても参加されています。準備や公演に向かう姿勢などお話頂けますか?
謝珠栄先生は、物語の史実や背景を大切に、深く丁寧に作品創りをされるので、私自身も先生からご提案頂いたアイデアに対して出来るだけ勉強して臨みます。謝先生の作品作りは進行がとても早いですし、先生から求められた表現に対して、瞬時に対応出来る様に準備しすぎるということはないですね。毎回ご一緒させて頂く際は背筋が伸びる思いをさせて頂き、とても感謝しています。

- せっかくですので謝珠栄先生の作品に参加する際に感じることや特徴的なことをお聞かせいただけますか?
まず本当に色々なジャンルが融合している点が特徴だと思います。今回も日本舞踊からジャズやラテンまで一見混ざらないジャンルが一つの舞台で表せられています。
またミュージカルの演出家でいらっしゃるので、そこに芝居心が入ってきます。
例えばオープニングに太鼓ソロがあるのですが、坂元健児さんの「帆を上げろ!」という掛け声から始まります。始めにもらった香盤表(曲順や誰が歌うかを表にしたもの)ではここは太鼓ソロ、としか書かれていませんでした。
しかし、稽古を進めるうちに、ここの太鼓ソロは船頭のようにみんなを引っ張っていく様な!また、波が打ち寄せるような音も入れてみよう!!と色々着想が沸いてきました。最終的には、船出をイメージして、「ヨーソロ!!」という船乗りが使う掛け声で締める形になりました。「この作品の船出を皆と力を合わせて荒波に揉まれながらもまっすぐ進めるぞ!」などの意味を込めています。

エンターテイナーのメンバーと演奏する「波風吹(なみふぶき)」という太鼓組曲では、高田屋嘉兵衛が北の海を目指し、波にもまれながらも進んでいく。波を乗り越えたり、荒波で船を漕ぐ。そんな情景を思い浮かべながら、音にしていきました。ショーでありながら物語や情景が浮かんでくる。そのイメージに寄り添いながら、演者から色々な提案をさせてくれるし、その上で必要のないものはちゃんと言ってくださる。自由度もあるので、自分も出演しながら、作っている感覚があります。そこが謝先生の作品に参加した時に感じることですね。

- タイトルにNeo japonism(ネオ・ジャポニズム)とありますが、作調される中で“ネオ”を意識されたところはありますか?
日本各地で使われる「ハネるリズム」=「波のリズム」を「ベース」=「地」にして「フレーズ」=「手組み」の中に三連符を混ぜて作調したので、その辺りも楽しみに聞いてもらえると嬉しいです。

- 役作りで特に意識したこと、こだわったポイントは?
ただリズムを刻むだけの演奏ではなく、太鼓の音を聞いて、お客様がその場面の情景を思い描いてもらえる様に音色や間を意識しています。
役作りでいうと「田原坂」ですね。激しい戦闘の中で、若い少年兵たちが命を散らしていく。臨場感あふれるナンバーです。曲の冒頭では、合戦が始まる空気にする為 “陣太鼓”の様な演奏するのですが、この曲のお稽古が始まる時には単なるつなぎのつもりでした。しかし曲前のMCで春の長雨の中で、少年兵が命を散らしていった情景を伝えていくのを聞き、今の形となりました。

曲の締め方も、もともとは分かりやすく“ドン”と終わっていたものも、お客さんが感情移入しやすいように、消えゆくように終わることにしました。坂元健児さんが”シャカホイ”と嘆きながら仲間の死を悼むシーンに寄り添えるように、フレーズの中で少し抑揚をつけたりと、日々試行錯誤しています。

- リハーサルでエピソードなどありますか?
今回は、太鼓の曲一本丸々をエンターテイナーのメンバーで初めて演奏しています。普段、私は淡路島で活動している鼓淡というグループを指導しています。波乗亭のファンの方たちも鼓淡の演奏を普段からよく見て下さっています。その上で、エンターテイナーのメンバーならではの太鼓の演奏とは何か、を考えるのが挑戦でした。

やっぱり彼女たちはダンサーとして優秀で、ふりを覚えるのはとても速かったです。なので、じゃあその強みを活かすリズムや構成はどんなものだろう?というところから考えていきました。振付は先ず、私の作った太鼓の振付を元にメンバーが動きやすい振りになる様、相談しながら作り上げました。もちろんリズムを覚えるのは時間がかかりましたが、一所懸命に練習もしてくれるし、打ち込んでくれるメンバーばかりなので全く心配してなかったです。そうでないと謝先生が選ばないですしね。
なのでこちらも全力で彼女たちに向き合い、指導する時には“プロの太鼓奏者を育てるならこう教える”というやり方をしました。
ただ普段と使ってる筋肉が違うのでやり過ぎて故障やケガにならない様に意識しました。
皆で創り上げながら成長し続ける「波風吹」を楽しんでいただければと思います。

- 今後の目標や未来を教えてください
この劇場波乗亭ならではの空間を自分たちで考えていく。ここにきたら楽しいものがみれる、と多くのお客さまに思ってもらえる舞台作りをしていきたいですね。友達誘っていきたい!と思ってもらえたら嬉しいです。
また推しを作る、ではないですが、あの人を観にいくという流れもできたらいいなと思っています。
- 上田秀一郎、個人としてもお聞かせいただいていいですか?
師匠の林英哲が今なお第一線で打ち続けておられる。その背中を見て"自分も、ああ在りたい"といつも思っています。
どんな現場でも、「師匠なら、今どうするか」。と自分に問いかけ、その問いが、前へと進む力になります。
“芸は模倣から”という言葉がありますが、自分自身まだまだ不完全。ですが有難いことに、そうした試行錯誤の中から生まれた表現を「それが上田のスタイル」と受け止めてくださる方がいるのも、大きな励みです。
今回の作品も、まだまだできる表現ある。自分自身、不完全だからおもしろい。不完全だからこそ日々発見があり、立ち止まらず、飽きることなく、これからも挑戦を重ねていきたいと思います。

- これから観る方に一言お願いします!
色んな思いのつまった作品となっています。素直に想像を膨らませて、出て行くときは あの人誘ってまた来たいな、と思ってくれてたら嬉しいですね。
演者もスタッフも含めて会いにくる。島に遊びにくる。
そんな気持ちでぜひ、お越しください。
- 淡路島の魅力、お気に入りの場所を教えて下さい
淡路島でお気に入りの場所は「絵島」です。淡路島の北端に浮かぶ島で、国生み伝説の一端ともなっています。夜はライトアップされていてとても綺麗ですよ。
帰りに橋を渡る前にわざわざ海岸沿いに降りて観に行くくらい好きですね。
もう10年前にこの風景から出会ってから何度も訪れています。ここにくると初心を思い出しますし、ここから色々始まったと感慨深い気持ちになります。特別な場所ですね。ぜひ、訪れてみてください。


太鼓の音に、情景と感情を乗せて――。
「不完全だからおもしろい」と語る上田秀一郎さんの言葉通り、音の追求に終わりはありません。日々鍛錬と進化を続ける舞台が淡路島の劇場波乗亭で行われています。
ぜひ劇場でその“音の旅”に耳を澄ませてください。そしてまた誰かを誘って、淡路島へ。特別な時間が、きっと待っています。
舞い踊る郷の響き~ふるさとNeo Japonism(ネオ・ジャポニズム)~
淡路島出身の廻船商人“高田屋嘉兵衛”の旅路を、音楽と舞で辿ります。大分県の「荒城の月」、熊本県の「田原坂」、島根県の「安来節」など日本各地の民謡を、ラテン、ジャズなど現代風にアレンジ。まるで万博のように、日本の伝統の音楽が一堂に集結!日本の魅力を再発見するレビューショーをお楽しみください。
【出演】
坂元健児
石坂光/ 池野千夏 / 音月さつき
金森なつみ/山根千緒里 /原萌々花
長岡美地留/ 中川ひかる/吉田梨乃
田野清香/榮なつき
【演奏】
上田秀一郎・五十嵐広大(太鼓)
喜連麻衣(ヴァイオリン)
佐藤碧美(フルート)
【スタッフ】
脚本・演出・振付 謝珠栄
音楽:韓子揚、小澤時史
舞台美術:中辻一平
照明プラン:竹内哲郎(株式会社ハートス)
音響プラン:本村実
衣装:根木伸介(衣装屋オテンテン)
太鼓作調:上田秀一郎
【日程】
各回14時00分 開演(13時30分 開場)
※約60分予定

チケットご予約・ご購入
一般 4,000円
小中高 2,000円



icanca会員の方、各種クーポンをお持ちの方は以下よりご予約ください。


青海波 お得なランチセット
■和食・青の舎
公演(通常4,000円)+青の舎御膳(6,500円)
⇒セットプラン 9,500円
※食事代・公演チケット代を含む
ご予約は<こちら>
青の舎の予約サイトTable Checkにジャンプします

■洋食・海の舎
公演(通常4,000円)+欧風浪漫コース(6,500円)
⇒セットプラン 9,500円
※食事代・公演チケット代を含む
ご予約は<こちら>
海の舎の予約サイトTable Checkにジャンプします

■古酒の舎
1日10食限定コラボメニュー!期間中しか味わえないプレミアム体験 古酒の舎さわちランチ
「舞い踊る郷の響き」公演期間中のみ提供されるこの特別ランチは、1日10食限定の貴重なメニュー。各地の民謡を楽しむショーとともに、ここでしか味わえない特別な掛け合わせ料理を、楽しむことができます。
食と舞台が一体となるこの企画は、日本の伝統文化をより深く体感できる試みでもあります。郷土料理の歴史や背景を知ることで、ただの食事ではなく、その地域の文化や物語を味わうきっかけになれば幸いです。
舞い踊る郷の響き〜ふるさとNeo Japonism(ネオ・ジャポニズム)〜
コラボメニュー 古酒の舎さわちランチ
・真鯛のりゅうきゅう (淡路島×大分郷土料理)
・明石たこのぶたあえ (兵庫×熊本郷土料理)
・さぬきのめざめの焼き浸し (香川)
・かつおの塩たたき (高知)
・赤てん (島根)
・塩丸いかと伏見甘長とうがらしの和え物(長野×京都)
・笹団子 (新潟)
・べったら漬け (東京)
ご飯・スープ付き
提供期間:2025年3月22日~2025年5月6日
価格:2,000円(税込)
提供場所:古酒の舎(青海波施設内)
ご予約は<こちら>

会場・アクセス
青海波 劇場 波乗亭(なみのりてい)
〒656-1723 兵庫県淡路市野島大川70
TEL:0799-70-9020


[お車]神戸淡路鳴門自動車道 淡路ICより約10分、北淡ICより約15分
【ご注意】駐車場が込み合う可能性がございます。お時間には十分余裕を持ってお越しくださいませ。臨時駐車場については<こちら>
[高速バス]神姫バス・北淡路西海岸ライン「野島大川(青海波前)」にて下車、徒歩3分
(各線三ノ宮駅より約55分、JR舞子駅より約25分)
[高速船]各線明石駅から淡路ジェノバライン乗船、岩屋港のりばよりシャトルバスで約20分
